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孫策  伯符
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孫策ノ巻第八章  〜交錯する戦場〜



牛渚を堕とした孫策が、次に矛を向けたのは秣陵城である。
秣陵城とは厄介な城で、仏教の狂信者の吹き溜まりでもあった。
仏教のためには、殺人も略奪も平気でする。
これは、かの有名な黄巾の乱を起こした、太平道信者たちにも似ている。
黄巾の乱とは、現在(西暦2005年)から見ても、全く類を見ない規模で、
当時の漢王朝を完全に混乱に陥れた。三国志は、この黄巾の乱から始まるのは、
あまりに有名。つまり、戦乱の時代の幕開けともなったのが、この黄巾の乱。
黄巾の力は、狂信的な信者たちの心理を最大限に利用したものでもあった。
秣陵城に溜まる仏教狂信者たちは、太平道の狂信者にも似ている。
これはかなり厄介な敵で、思わぬ時に異常な力を発揮することもある。

しかし、秣陵の先鋒は意外と脆ろかった。
孫策軍は、即座に秣陵城の前に布陣していた先鋒隊を再起不能に追い込んだ。
戦いに生きる根っからの軍人と、ただの仏教信者との差が出た結果でもあった。
しかし、前途したとおりに狂信者の軍は、思わぬところで異常な力を発揮する。
厄介なのは、秣陵城に残った敵である。追い込まれた敵は、
窮鼠猫を噛むの例え通り、何を仕出かすか分からない。
更に、先の戦いで堕とした牛渚を奪還せんと、部隊を再編成した敵が迫っていた。
もしも牛渚が奪われるようなことがあれば、牛渚の砦と秣陵城の、
両方からの挟撃を受ける危険性がある。

更に、先の戦いで破った秣陵の先鋒隊が遊軍として迫っていた。
孫策には、的確な判断と迅速な行動が求められていた。

孫策には、敵の僅かな隙と、時間差を利用する手をとる。