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孫策  伯符
sonsaku-hakuhu

孫策ノ巻第三章  〜無力な自分〜



亡き父の意志を継ぐ。簡単なようで非常に難しいことである。
孫堅死亡時の孫策はまだ若く、精鋭揃いの孫堅軍団を継いだのが、
孫堅の甥である孫賁であった。孫賁は、孫堅や孫策のように、
天下を統べようというような野心はなく、ただ己の保身を考えている人物だった。
当時最強を誇った父の軍は、孫賁の決断で、袁術と言う小心者の軍に併合された。
父がただ一代で築いた精兵たちは解散された。
納得できない父の死に、その父の生涯をも否定しようと言う事実。
尊大な父に対して、無力な自分に孫策は、日々嘆くばかりであった。

まだ若い孫策には、何もできない。
いや、行動を起こすための力、兵、金。全てがなかった。
父が残してくれた、孫策が天下のために役立てるはずであった財産は、
全て袁術が吸収してしまったからである。

当時の孫一族の長、孫賁が袁術のもとに堕落したのだから、
孫策もただ袁術のもとに堕落するしかなかった。

天下に睨みを利かせた孫家の命運、ここで尽くか・・・