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孫策  伯符
sonsaku-hakuhu

孫策ノ巻第二章  〜父よ、何故逝った・・・〜



孫策は父を誰よりも尊敬していた。孫堅は反乱の鎮圧のために、
家族とは滅多に会うことができなかった。死ぬまでの五年は一度も会っていない。
しかし、孫策は父が家族を・・・いや、天下の民に平和な生活をさせるために、
戦っていることを知っているから、父を恨むこともなかった。

早く自分も成人して、父と一緒に戦いたいとも言っていた。

そんな中で、父孫堅が突然の戦死をした。
尊敬していた父が戦死するというのは、一体どういう気持ちだったのだろうか。
孫策が父の遺体を引き取ると、自らの手で葬った。
父が持っていた爵位である、鳥程侯と言う名が、孫策に受け継がれた。
だが、孫策はそれを受け取らなかった。まだ俺がその名を戴く訳にはいかない。
父が鳥程侯として、俺の成人を見届けてくれるはずだった。
父が天下を平和にして、その平和な世で俺は鳥程侯を補佐したかった。
または、平和じゃなくてもいい。鳥程侯の父と一緒に平和のために戦いたかった。
鳥程侯の爵位を受け取らない孫策には、父の死を受け入れることができない、
悲しみに深けた心境が良く伝わってくる。


孫策は、父の意志を受け継ぐ決意をする。初平元年のことであった。