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孫策  伯符
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孫策ノ巻第二十三章  〜父の仇〜



さて、やるべきことを一通り終えた孫策には、
あと一つ、覇権争いの前にやっておきたいことがあった。
それは、父の仇である黄祖の討伐である。
黄祖という男、実は乱世に稀に見るほど珍しい武将である。
別に優れている訳ではなく、むしろその逆。
孫堅と戦った時も、逃げ腰でいると孫堅が勝手に死んでくれて、
運良く勝利しただけ。形勢がまずくなると、すぐ自分だけ逃げ出し、
この時まで生き長らえてきた。


さて、この黄祖の何が珍しいかと言うと、
世にも珍しく、惨めに逃亡する最中に、雑兵に追いつかれて
しっかりと雑兵に斬り殺された、と記録されてあるのである。

戦場では常に死と隣り合わせである。それは矢が飛び交っているからであり、
どうあがいても、一定の死の確率は残る訳だ。
不運にも、その一定の死の確率に当たって、流れ矢で死んでしまった武将は多い。
だが、雑兵に、それも逃亡中に斬り殺されるという、
なんとも哀れな死に方をしたのは、黄祖を置いて他にいない。


孫策と黄祖は沙羨で対峙した。