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孫策  伯符
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孫策ノ巻第二十一章  〜偽帝袁術〜



さて、失策を重ねて進退窮まった袁術は、とんでもないことをしでかす。
この男、以前は配下に孫堅や孫策を置き、そして兄の袁紹は曹操を配下に置いていた。
袁紹と袁術の兄弟は、二袁と呼ばれ恐れられ、怖いものなしであった。
袁紹は華北の強豪を次々と制して、着々と勢力を伸ばしていった。
しかし、一方の袁術はどうだろう・・・?
以前に前途したとおり、目先の欲に走って敵を多くつくってしまったため、
周りは敵だらけで、なんとかこの危機を脱しようと策を巡らすも、
そのことごとくが裏目に出る有様であった。
名門袁家の出自を誇る二袁の俺が何故・・・そういった苦悩の中、
現実逃避に走ってしまい、自らを皇帝と僭称した。

さて、その自らを皇帝と僭称する、とはどのようなことなのだろう?
漢王朝の皇帝が実在するにも関わらずに、その皇帝を差し置いて
自分が皇帝だと宣言することで、漢王朝に対する最高の不忠であった。
漢王朝の歴史に幕を降ろして、乱世を沈めれるのなら、
新たな皇帝の誕生に、万民が諸手を上げて喜んだことだろう。
しかし、袁術の皇帝僭称は、ただの現実逃避にしか過ぎない。
皇帝僭称というよりも、ただの漢王朝に対する反逆でしかない。
反逆者に対して、他の群雄たちは、異常な反感を示した。

誰もが予想だにしなかた、急な戦局の変転だが、
偽帝、袁術に有利になる要素は、どこにもなかった。