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孫策  伯符
sonsaku-hakuhu

孫策ノ巻第十六章  〜狡猾な猿の呪縛〜



劉ヨウを倒した孫策は、父が天下を平定するのに、
唯一足りなかった自らの拠点を手に入れた。
しかし、孫策は袁術の呪縛から開放された訳ではなかった。
もともと孫策は、袁術の客将として劉ヨウを討伐した立場にあった。
つまり、孫策が手に入れた拠点は、完全に自分の拠点という訳ではなく、
袁術の息が掛かった、非常にやりにくい拠点でもあった。
孫策が天下取りの争いに参じるためには、袁術からの完全な独立が第一歩であった。

袁術の息が掛かっている時点で独立してしまうと、
内部からも外部からも圧力が掛かるので、孫策にとっては非常にまずい。
そこで孫策が選んだ行動は、袁術からの半独立である。
袁術に対して従う素振りを見せつつ、狡猾な猿の目を欺いて
その間に着々と江南の地に、激動の乱世をも耐え抜く、
堅固な拠点を築くのである。勿論、半独立というのは
独立のための第一歩である。半独立から、完全な独立へ繋ぐのが、
今後の孫策の大きな課題である。

孫策と周瑜は、二人三脚の作戦で独立への第一歩を踏み出した。