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孫策  伯符
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孫策ノ巻第十三章  〜熾烈な一騎討ち〜



熾烈な一騎討ちは、静寂から始まった。
嵐の前の静けさ、と言うものだろうか。徐々に気が昂ぶり、血が滾り、激突する。
まず、力で言えば五部と五部だろう。太史慈が孫策を馬から叩き落すと、
孫策も太史慈を馬から突き落とし、更に、孫策が太史慈の隠し持っていた、
手戟と言う、敵に投げつけて使う、主に暗殺に使われる武器を奪った。
孫策が優位かと思うと、負けじと太史慈が孫策の兜を叩き割る。
勝負は最高潮に達し、両者の血は更に滾る。

両者は大将だとか、はたまた敵や味方なども眼中になく、
目の前の敵、いや好敵手に己の全てを賭けて戦っていた。

「お前、やるじゃねぇか!」「アンタもな!」
・・・って感じの、少年漫画にあるような展開である(笑
しかし、横槍が入ってしまう。
孫策の異変に気づいた韓当が、身を呈して孫策に駆け寄り、
勝負は中断。ことなきを得て、それどころか、孫策は好敵手と知り合った。
韓当は、孫策の父孫堅の代から付き従う古参武将で、
軽はずみなことで一度は君主を失っているので、孫策の無鉄砲さを心配していた。
もう二度と主を失いたくないという、韓当の忠誠心が幸いした。

孫策は天命に左右されるような人物ではない。
孫策の周りには、天命ではなくて、人の感情が飛び交っている。