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孫策  伯符
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孫策ノ巻第十一章  〜制覇道〜



今まで沈黙を守っていた劉ヨウ軍が動き出した。
孫策強しと見た劉ヨウは、正面をきって勝負をしかけるのではなく、
軍を二分。梅陵に一方の軍を送って孫策の背後を突く作戦に出た。

だが、あえなく失敗。孫策は、周瑜の諜報によって、
劉ヨウの動きは手に取るように把握できた。

情報戦を制した孫策は、次に機先を制した。
劉ヨウの本拠地、曲阿を守る重要拠点の湖孰、江乗を勝ち戦の勢いで制圧した。
劉ヨウにしてみれば、袁術の五千と睨み合いの状態を保って、
均衡を保ちつつも物資を蓄えることまでできた。

しかし、突如現れた一千程度の孫策に、戦という戦の全てに無残な敗北を喫した。
一万、孫策の十倍の兵力を持つ劉ヨウが、である。
しかし、戦を数で計って運べるのならば、こんな簡単なことはない。
戦術や奇策、はたまた地の利、人の利、天の利まで絡むのだから、
十倍の兵力に頼って戦の原点を無視した劉ヨウは、全てにおいて孫策に劣った。

しかし、劉ヨウ討伐に当たって一度死んだ孫策が、
二度目の死を迎えようとは、誰にも予測ができなかった。