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甘寧  興覇
sonken-bundai

甘寧ノ巻最終章  〜戦友、君主、仲間〜



合肥の戦い以降、甘寧は殺されかけたことはあったものの、
孫権が魏と和睦したために、大した戦もなく、平和な日々を送っていた。
そんな折、平和な甘寧の自宅の厨房で、下働きの少年が過ちを犯す。
それで、些細な過ちなのに何故か甘寧は激怒して、
剣を振り回して大声で怒鳴り散らして、少年を追っかけ回した。
少年は呂蒙の家に逃げ込み、事の経緯を聞いた呂蒙は少年を保護した。
それで面白くないのが甘寧で、少年の命は保障すると言って、
少年の身柄は呂蒙から甘寧に戻された。そして甘寧は少年を木に縛りつけ、
弓矢で射殺してしまった。約束を破った甘寧に、今度は呂蒙が激怒し、
軍を挙げて甘寧を攻撃しようとする。
一方の甘寧は、船の上で着物を脱ぎ、
寝転んでのんびりしていた。その甘寧の船を呂蒙は攻撃しようと言うのである。

それを聞いた呂蒙の母は、靴も履かずに呂蒙のもとへ行き、
合肥を初めとする、甘寧の様々な戦功を挙げて、呉きっての功臣を、
私怨で殺すことは許されないことだと諭す。母には頭が上がらない呂蒙は、
高ぶっていた気持ちが解けて、甘寧と和睦することを決めた。
そして甘寧の船まで行き、「おーい、興覇。俺の母がご馳走を作ったんだ。
お前にも分けてやるから、早くこいよ!」と言って仲直りした。
それを聞いた甘寧は、取り返しのつかないことをしたと、咽び泣いて詫びた。
それから二人は宴会を行って、親睦を深めた。
ここで重用なのは、いい歳をして母に頭が上がらない呂蒙と、少年漫画のような展開である(笑

戦に行きて、よい君主、よい戦友、よい仲間に恵まれた甘寧。
彼の最後については現代には伝わっていない。
呂蒙との宴会を最期に、彼に関する一切の記録は途絶えた。
乱世に飛び出し、終生君主に尽くして、仲間にも人望が厚かった甘寧。

彼は乱世に何を思い、そして治世に何を望んだのだろう・・・