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甘寧  興覇
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甘寧ノ巻第八章  〜戦にこそ、生きる術があり〜



関羽は、三万の軍から精鋭五千を選りすぐった。
と、言うのも関羽が攻撃を掛けるには川を渡る必要があった。
一度にそんなには渡れないので、随行する兵の数を絞ったのである。
関羽が兵を割いたからといって、甘寧には三百しか兵を持っていなかった。
五千対三百。全く話にならないが、甘寧は無謀にも関羽に勝負を仕掛ける、
と言い出した。
甘寧が自信満々に宣言する時は大抵、ことが成功する。
曹仁に包囲された時もそうであったように。
しかし、甘寧がいくら五千の相手に三百で相手をすると言い張っても、
周りの者は認めなかった。そこで、味方から甘寧は千の兵を貰う、ということで
みな賛同した。五千対千で甘寧が勝つと信じる方も凄い(笑
このことからも、孫権陣営でいかに甘寧が信頼されていたかも分かる。

さて、関羽はというと、甘寧が軍を率いて来たと聞いただけで、
軍を引いてしまった。甘寧は千の兵しか持っていないと知った上で。

やはり、甘寧相手に五千では心細かったのだろう。
五倍もの兵力を持った敵を、ただ一人の血も流さずに止めた甘寧。
孫権は甘寧の働きに、多いに喜んで功績を評価した。

甘寧にしてみれば、兵の数など関係はないのだろう。
五倍の兵力を擁しつつも、勝負すら掛けてこなかった関羽は賢明と言える。
数ではなく、質で勝負。甘寧の強さに秘密はそこにあった。