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甘寧  興覇
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甘寧ノ巻第五章  〜新たな待遇〜



孫権のもとに赴くと、甘寧は以外な待遇を受けた。
なんと、孫権の重臣の周瑜や呂蒙が、甘寧を高く評価し、
勇士を好む孫権は、他の旧臣たちと比べても退けを取らない程の待遇をした。
黄祖のもとにいた時とは、全く正反対の待遇である。
甘寧は孫権の度量に心から心服し、生涯を賭けて孫権に仕えようと誓った。

孫権のもとに移ってからの甘寧の初仕事は、皮肉にも黄祖の討伐である。
最も、黄祖の討伐は甘寧自らが孫権に進言したものでもあった。
甘寧にとって、不服であったとは言え、一度は仕えた黄祖との関係を、
この際に蹴りを付けておきたかったのであろう。
しかし、この甘寧の進言に対して異を唱える者がいた。
孫権の兄、孫策の旗揚げ時代から仕えてきた重臣、張昭である。
江東で最も名高い賢者で、孫策が頼み込んで迎えた程だから、
この孫権陣営の中でも、大変な信頼をされていた。
しかし、張昭が甘寧の進言に反対する中で、甘寧は頑として引かなかった。

普通に考えて、孫権が新参者の言うことよりも、古参の重臣の進言の方を
採用するように思えるのは、至極当然のことのように思える。
しかし、孫権は以外にも張昭の進言を却下。甘寧の黄祖討伐を採用した。
そして、孫権は甘寧に黄祖討伐の一切を託したのである。
このことからも、孫権がいかに甘寧に期待していたかが分かる。

甘寧は孫権の期待に応えようと、すぐさま軍を動かした。
その全てを孫権に捧げた生涯の、始まりとも言えよう。