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甘寧  興覇
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甘寧ノ巻第四章  〜黄祖から、孫権へ〜



甘寧が君主に恵まれないのを嘆いているのは、甘寧だけではなかった。
甘寧の実力を見抜き、よき君主のもとで活躍して欲しいと願う。
賢い人物なら、当たり前のようなことである。
その賢い人物が、黄祖の配下にはいなかった。君主があれだから当たり前だが。
だが、天は甘寧を見捨ててはいなかった。
黄祖の都督、蘇飛。彼は甘寧の実力を見抜き、それを慕っていた。
ある日、甘寧の生活に見る見かねた蘇飛は、酒宴に甘寧を招いて、
少し前に攻撃を掛けてきた、孫権に仕えるべき、と薦める。
甘寧も孫権のような、有能な君主に仕えたいと思っていたが、
その孫権に仕える方法を知らなかった。

そこで頭の回る蘇飛は、甘寧に孫権の元へ士官する方法を教えてあげたのだった。

その方法とは、孫権と黄祖の鍔迫り合いが発生している、
いわば黄祖軍の前線の県に甘寧を赴任させる。都督の蘇飛なら、
黄祖に進言すれば、絶対に黄祖は蘇飛の進言に従うだろう。
前線に赴任すれば、あとは黄祖にとられた仲間を奪い返して義勇軍を結成。
その義勇軍を手土産に孫権に降るのだ。あの凌操を討ち取った甘寧なら、
人を見る目がある孫権が重要してくれないはずもない。
甘寧は、蘇飛の言うとおりに従って、めでたく孫権に士官できた。

鈴の甘寧。今やっと、仕えるべき君主を見つけた。