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甘寧  興覇
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甘寧ノ巻第二章  〜好敵手凌操〜



甘寧は、黄祖のもとでだらだらと日々を過ごしていた。
そんな折も折、江東の虎と称された英雄、孫堅の次子孫権が、
精鋭を率いて黄祖を攻めてきた。
この孫権、三国時代に至っては、
大国の呉を築き上げるなど、歴史上、偉大な名君として知られている。
そんな孫権に黄祖如きが敵うはずもなく、あえなく黄祖は敗走した。
惨めに敗走する黄祖に対して、孫権の追撃は想像を絶する程激しかった。

黄祖追撃の先鋒を担っていたのが、孫権の兄の代から、
戦といえばいつも先鋒を勤めた歴戦の士、凌操である。
凌操の激しい追撃により、黄祖の命は風前の灯火であった。
そこで、実力を発揮できずにだらだら生活していた甘寧が立ち上がった。
経験豊かな歴戦の士凌操に対して、甘寧はこれが初陣であった。
賊徒の雑軍なら甘寧も相手をしたことがあるのだが、鍛え上げられた練兵と、
それを率いる猛将を相手に戦うのが、甘寧にとっては初めてのことである。