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甘寧  興覇
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甘寧ノ巻第一章  〜鈴の甘寧〜



英傑揃う呉の孫権陣営でも、一目置かれる程の武を誇った甘寧。
字は興覇といい、益州巴郡の人。冷静沈着の猛将である。
呉は甘寧がいたからこそ、三国時代の大勢力になりあがったのだが、
甘寧は呉に仕える前は、巴郡のならず者であった。
巴郡を我が物顔で振る舞い、意味もなく人を殺めるような男だが、
巴郡の治安を自ら引き受けるなど、正義感に溢れる一面もあったようだ。
甘寧のその魅力が人を惹きつけ、若者たちが甘寧のもとに集まり、
いつしか甘寧は大勢の集団を率いる、無頼の徒になっていた。
甘寧はいつも腰に鈴をつけており、みな、甘寧を鈴の甘寧と呼んで親しんでいた。

だが、その甘寧の身に何が起こったのかは不明だが、
今までも振る舞いを反省し、これからは人の役に立とうと、日頃の行いを改善し、
荊州の劉表の元に士官した。しかし、改心したと言っても、世の中は甘くない。
甘寧が無頼の徒だったことを劉表はすでに知っており、甘寧を重要しなかった。
劉表が甘寧を重要していたら、今の歴史は大きく変わっていたのかもしれない。
だが、劉表は甘寧を扱うことのできる程の器ではなく、甘寧は黄祖の元に移った。
黄祖の元に落ち着いた甘寧だが、劉表と同じく黄祖も甘寧を重要しなかった。
理由は劉表と同じ。日頃の行いが悪いと、何かと苦労するのは、
どうやら当時の中国でも同じのようである。

鈴の甘寧。彼が本当に使えるべき君主は現れるのだろうか?