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孫堅  文台
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孫堅ノ巻第二章  〜銭唐の海賊を喰らう〜



孫堅が歴史の表舞台へと飛び出すのは、実に十七歳の時。
父と一緒に、故郷より北にある銭唐というところへ旅行に行った時に、
偶然にも略奪を働いている大勢の海賊に遭遇する。海賊の棟梁は胡玉といい、
後に会稽郡の句章で反乱を起こした妖賊、許昌の股肱の配下でもある。
そんなもんだから、通りかかる人は皆恐れをなしてそ逃げてゆくばかり。
まぁ、普通の人ならその行動が妥当なところだろう。
しかし、孫堅は人々とは全く別の行動にでた。
なんと、一人で大勢の海賊を退治しに行ったのだ。
その方法とは、こうである。

海賊たちを見下ろせる程の高い場所へ登り、軍を指揮する将のような仕草をする。
それを遠目ながらも見かけた海賊たちは、官軍が自分たちを討伐しに来たと思い、
即座に撤退を始めたのである。普通に考えれば、好き勝手略奪をしていた海賊を、
ただ一人の血も流さずに追い返したのだから、もうこれで大成功と言える。
しかし、孫堅は普通に物事を考えるような人間ではなく、
なんとただ一人で撤退を始めた海賊たちに突っ込んでしまった。
そして、見事に海賊の首を引っさげて帰ってきたのである。

孫堅には、若年ながらも人並み優れた機略がすでに備わっていたようである。
海賊を見た瞬間、瞬時に手の込んだ策を思いつき、更に行動に移してしまう。
当時の人々も、この少年には驚いたことだろう。
噂は噂を呼び、孫堅は才能を見出され、仮の尉の位を貰いう。
と、言うのも孫堅はまだ十七歳。あまりに若すぎるので、仮の尉と言うこと。
いきなり非凡なき才能を縦横に発揮し、世に出た孫堅。
しかし、彼の活躍はこれからが本番だ。