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孫堅ノ巻第十四章  〜伝国の玉璽〜



孫堅は、メチャクチャになってしまった洛陽の復興活動に、人一倍精を出した。
そのせいなのか、そうでないのかは分からないが、洛陽では、
孫堅が伝国の玉璽を発見した、という噂が立ち込めていた。
伝国の玉璽とは、帝が所有するもので、帝の印でもある。
その伝国の玉璽を手に入れれば、天子(皇帝)を名乗ることも可能なので、
群雄割拠を迎える時代には、最強の切り札とすることもできる。
袁紹の弟、袁術は後に伝国の玉璽を手に入れて、帝を名乗った。
仁徳が無かったために世間からは「偽帝」と呼ばれたが、当時の最大勢力の
河北の袁紹に次ぐ勢力になったのは、伝国の玉璽のおかげと言っても良い。

さて、その孫堅が伝国の玉璽を手に入れたという噂。
実は、出所が全く分からないのである。しかも、全く根拠の無い噂でもある。
考えられるのはただ一つ。董卓や、そこいらの孫堅に恨みのある人物が、
孫堅を陥れるために流した噂としか、思いようが無い。

時代を超えて孫堅の次男の更にその三男の息子、孫晧。つまり孫堅のひ孫が呉の皇帝になった時。
孫晧は晋に降伏するのだが、その時に孫晧が降伏の印として、
代々呉に伝わる印を全て差し出したのだが、その中に伝国の玉璽はない。
それだけで、孫堅が伝国の玉璽を発見した噂の真偽を確かめることはできないが、
前途した理由も含め、孫堅が伝国の玉璽を発見したのは、限りなく虚報に等しい。

孫堅も孫堅で、そんな噂が出たのなら、身の潔白を証明すればいいものを・・・