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孫堅  文台
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孫堅ノ巻第十二章  〜都洛陽、敗戦の炎で燃ゆ〜



猛将呂布を破った孫堅は、(大将は胡軫なのだけれども)都の洛陽に駒を進めた。
足を引っ張り続ける連合軍の諸侯に対して、孫堅は董卓の本拠地、洛陽に迫った。
ここまで来れば、さすがの役立たず共も兵を動かすであろう。
孫堅の大活躍、と言うか孫堅一人の大活躍で、天下の乱れは収まろうとしていた。
十七歳で世にでた孫堅少年は、実に大きくなったものである・・・

しかし!世の中はそう甘くない。
ましてや、時は乱世である。それに加えて、相手が一癖も二癖もある董卓。
董卓はとんでもないことをしでかした。
なんと、自ら本拠地の都、洛陽を火の海に沈めたのである。
一見、連敗が続いた董卓がヤケを起こしたようにも見える。
だが、天子の座を目前に、そんなことに陥る董卓では、孫堅も張り合いがない。
董卓は洛陽を焼く際に、王族の墓という墓を全て暴いて宝を掘り出し、
富豪の家という家の全てから、金目のものを奪い去って、長安に遷都した。
つまり、このままでは勝ち目がないから、長安まで一回引いて、
それだと、みすみす洛陽を連合軍に渡すようなものだから、
金目の物を全て奪い去って、ついでに燃やしといて足止めでもしておこう。

董卓の、とんでもない魂胆が見え隠れする。住み慣れた街を追われた民たち。
無理矢理、朝も晩も長安まで歩かされ、病人は足手まといになるから殺された。
十分に食料も行き届かず、飢え死にする者も増えた。自害する者もいた。
正に、地獄絵巻。その表現が最も正しいのかもしれない。

孫堅は、洛陽に一番乗りを果たした。
そこには、かつて栄華を極めただろう都の、残骸が残っているだけだった。
一体、誰がこの結果を予想したことだろう・・・