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孫堅ノ巻第十一章  〜孫堅の快進撃〜



次の戦場は陽人。陽人にて孫堅を迎え撃った大将は、胡軫という男なのだが、
それは去ることながらに、副将に呂布がいた。三国志を知っているひとなら、
一度はその名を聞いたことがあるだろう。最強の武将として知られている。
最強と言っても、それは呂布の個人的な武力のみで、思慮が少し足りない。
それでもって、どうも高慢なところがあるので、扱いづらい男である。
しかも、馬と金で董卓に買収され、幼い頃から育ててくれた養父を殺すなど、
残虐非道な一面も併せ持つ。自分の利害を第一に考えるような男でもある。
しかし、優れた武将であるのは確か。呂布を巧く手懐けれた者がいたなら、
その者は、もしや天下を取っていたのかもしれない・・・

しかし、猛将呂布が立ちはだかるも、孫堅は楽に戦に勝利することができた。
何故なら、呂布は大将ではなかったからである。
大将の胡軫は有能な武将とはとても言えない人物で、十分に兵糧も用意せずに、
孫堅に強行を掛けたのである。兵の疲労は溜まる一方だが、それにはお構い無し。
更に、呂布は何を思ったのか、胡軫が戦に負けるように計らったのである。
偽の情報を胡軫に送って、ただでさえ疲れきっている兵で、更に突撃を掛けさせ、
孫堅が軽く反撃してきたのをいいことに、呂布は胡軫に、
「孫堅の総攻撃が来るぞ!」と、また虚報を送った。
無論、胡軫がほうほうの体で逃げ帰ってきたのは、言うまでも無い。
何故に呂布が味方をはめたのかは謎だが、呂布のことだから、
自分が副将だったのが気に喰わなかったのであろう。

はっきり言って、特にこれといって動いていなかった孫堅。
だが、勝手に敵が自滅してくれたお陰で大勝利を収めた。
実は、反董卓連合軍で、董卓に対して勝利を収めた軍は、孫堅の軍だけである。
盟主の袁紹は、冀州を手に入れる野望のために、自分の兵を動かさなかった。
他の諸侯たちは、自分の兵は使いたくなかったのである。
挙句の果てに、橋瑁と劉岱は兵糧の貸し借りで喧嘩をして、
劉岱が橋瑁を殺害するという、訳の分からん始末。
そんな中で、快進撃を繰り広げている孫堅に凶報が入る・・・